「写真を撮るだけでカロリーがわかる」。これが、あるジャンルのアプリ全体に共通するうたい文句です。材料をひとつずつ入力するより確かに速いのですが、写真では食べ物の重さを量ることも、調理に使った油を見ることもできません。このページでは、独立した検証でわかったこと、人気の写真アプリでそれぞれ何を確認・修正できるか、そしてどの精度の主張に、ほかの人も検証できる方法が示されているかをまとめました。
このページは、Calorixの開発元である私たちが作成しています。Calorixは表に載っているアプリのひとつなので、中立な立場ではありません。このページではCalorixの精度について何も主張せず、ほかのアプリに関する記述にはすべて出典へのリンクをつけています。情報はいずれも2026年10月11日に確認したものです。
独立した検証でわかったこと
2026年のNIHによる人気アプリ4つの検証
米国国立糖尿病・消化器・腎臓病研究所(NIDDK、NIHを構成する研究所のひとつ)の研究者たちは、同じ条件で撮影した102食分の写真を、4つのアプリの写真機能で解析しました。食事は、食事内容を厳密に管理した給食試験で出されたもので、材料はすべて0.1 g単位で量られ、平均918 kcalでした(抄録、ASNの発表資料)。
| アプリ(検証時) | 1食あたりの平均の過少推定 | 95%信頼区間 | 1食ごとの幅(一致限界) |
|---|---|---|---|
| Appediet | 252 kcal | 210〜295 | 672少ない〜167多い |
| MyFitnessPal | 327 kcal | 269〜385 | 884少ない〜246多い |
| Lose It! | 333 kcal | 282〜383 | 835少ない〜170多い |
| Cal AI | 345 kcal | 296〜392 | 821少ない〜132多い |
4つのアプリはいずれも、カロリーを平均でおよそ3分の1、脂質を1食あたり約30 g少なく見積もっていました。最も安定していたのは炭水化物です。さらに200食以上を追加した初期の結果からは、脂質の多いケトジェニック食がアプリにとってより難しいことがうかがえました。注意点は2つあります。これは学会の抄録なので、査読を経た論文が出るまでは予備的な結果であること、そしてアプリのバージョンと検証日が報告されていないことです。研究者のひとりであるAaron Hengist氏は、写真ベースのアプリを使う人のうち「分量を調整したり、食べた量を入力したりしない人は、結果を割り引いて受け止めるべきだ」と助言しています。
これまでの研究
- スタジオで撮影した写真22枚で7つのアプリを調べた2024年の研究では、MyFitnessPalが食品の構成要素の97%を識別しました。ただし、これは認識の話で、カロリーの話ではありません。エネルギー量では、MyFitnessPalが平均3%、Foodvisorが平均47%少なく見積もり、バターを塗ったトーストに卵をのせた一皿は、バターが見落とされたため、それぞれ35%と73%少なく見積もられました。
- 汎用のAIチャットボットでも、結果は良くなりません。同じ条件で撮影した食べ物の写真52枚で調べたところ、ChatGPT-4oとClaude 3.5 Sonnetのカロリーの誤差は平均35.8%、Gemini 1.5 Proは64.2%で、3つとも分量が増えるほど少なく見積もる傾向が強まりました(2025年の研究)。詳しくはChatGPTは写真からカロリーを計算できる?をご覧ください。
- 画像による自動推定の手法(多くは研究用のシステム)を調べた2023年のシステマティックレビューでは、カロリーの平均誤差は0.1%から38.3%まで幅があり、単品のシンプルな食品ほど推定しやすいという結果でした。
写真の推定が少なめに出る理由
差の大部分は、カメラではよく見えない3つのものから生まれます。脂質(食べ物にしみ込んだ油や、ソースに溶けたバター)、盛りつけの深さ(真上からだと、深い器と浅い器は同じように見えます)、そして混ぜ合わせた料理に隠れた材料です。それぞれについては、出典つきのガイドAIカロリー計算アプリの精度は?で説明しています。
精度の主張と、その根拠
精度を数字で示しているアプリもあります。ここではそれぞれを各社の主張として紹介し、どう測定されたかについて私たちが見つけられた情報を添えます。
- Cal AIは、FAQで「約80%正確」だとしています(Cal AIのFAQ)。ブログの古い記事には「見える食品で90%の精度」とあります(Cal AIのブログ)。どちらのページも、「正確」が何を意味するのか、どう検証したのかを書いていません。NIHの検証では、Cal AIの写真機能は、4つのアプリの中で平均の過少推定が最も大きくなりました。
- SnapCalorieは、「平均で約15%の平均カロリー誤差」で、「栄養士の2倍正確」だとしています(SnapCalorieのFAQ)。創業者はGoogle Researchと共同でNutrition5kの論文(CVPR 2021)を執筆していて、そのデータセットは公開されています。この論文では、1か所のカフェテリアで出された平均255 kcalの料理に対して、研究用モデルの誤差は写真1枚からで26.1%、深度カメラを使うと16.5%でした。論文の人間との比較では、栄養士ではない16人と栄養士4人に、シンプルな10皿の分量の重さを推定してもらっています(誤差は53%と41%)。査読を経た方法ではありますが、対象は2021年の研究用モデルで、現在のアプリの検証結果が公開されているわけではありません。
- FitiaはApp Storeで自らを「最速で最も正確なカロリー計算アプリ」と呼び、Fasticはスキャナーが「食品を正確に識別できる」としていますが、どちらも数値や方法は示していません。
- 上の表には載せていないPlateLensは、「重さを量った180食で±1.1%のカロリー誤差」をうたい、研究とオープンなベンチマークを根拠に挙げています(PlateLens)。私たちはこれを確認できませんでした。研究の出典として示されたDOIは、2026年10月11日の時点で「not found(見つかりません)」と表示され、Crossref、PubMed、Zenodoにもその研究の記録は見つからず、ベンチマークのリポジトリにはコードはあっても、食事の写真や基準となるデータは含まれていませんでした。
表にあるほかの12アプリのうち、現行アプリの精度テストを、データ、方法、実施日とあわせて公開しているものはひとつもありません。数字を信頼する前に私たちが求めたいのは、その水準です。私たち自身の数字であっても同じです。
日本のアプリ:あすけんとカロミルの写真記録
日本でよく使われている2つのアプリも、写真からの記録に対応しています(2026年10月23日確認。NIHの検証の対象ではありません)。
| アプリ | 写真での記録 | 写真のあとにできること | 料金(日本のApp Store) |
|---|---|---|---|
| あすけん | 画像解析はプレミアムの機能。2026年10月20日からは新しい「画像解析Plus」(プレミアム月10回、Plus月90回) | メニューの候補から選ぶ。画像解析Plusは料理の量や個数も推定し、修正の傾向を次の解析に反映 | プレミアム月580円・年4,400円、Plus月980円・年7,500円 |
| カロミル | 無料。カメラロールにある直近72時間の食事写真をAIが自動で解析 | 解析されたメニューの候補を選んで記録 | 写真の解析は無料。プレミアムプランは月480円 |
出典:株式会社asken(PR TIMES)、あすけんの特商法表記、カロミル公式サイト、各アプリのApp Storeの説明。2つのアプリの違いはカロミルとあすけんの比較で、目的別の選び方はカロリー計算アプリのおすすめ比較で詳しく説明しています。
写真でカロリー計算するアプリの選び方
- 確認できる一覧。 合計の数字がひとつだけでは、どこがおかしいのか確かめようがありません。材料と分量の一覧があれば、推定がどこでずれたのかがわかります。
- かんたんに修正できること。 グラム数の変更、食品の入れ替え、油の追加、修正内容を言葉で伝えることが、数秒でできるのが理想です。
- バーコードと栄養成分表示のスキャン。 パッケージ食品なら、推定ではなく表示どおりの数値を使えます。ただし、表示も完璧ではありません。米国では、表示より20%を超えてカロリーが多い場合に限り、不当表示とされます(21 CFR 101.9)。
- カメラに見えないことを伝える方法。 「バターで調理」「半人前」のような情報を、アプリに伝えられること。
- 精度についての誠実さ。 検証できる方法とデータを伴う主張は、根拠のない大きな数字よりも価値があります。
どのアプリでも推定を良くするコツ
- 油脂を追加する。 調理油、バター、ドレッシング、マヨネーズは、別の品目として記録しましょう。オリーブオイル大さじ1杯は約119 kcalです。
- 大きな品目から確認する。 ご飯、パスタ、肉、ソースは、合計を最も大きく左右します。
- ときどき定番の食品を量る。 いつものシリアル1杯、ご飯茶碗1杯、油のひと回しを量って、目分量の感覚を合わせておきましょう。
- 写真の撮り方を工夫する。 明るい場所で、お皿全体を、真上からではなく45度の角度で撮りましょう。
- パッケージ食品は、バーコードか栄養成分表示で記録する。
Calorixの立ち位置
CalorixはNIHの検証の対象ではなく、より良い結果が出たはずだと主張するつもりもありません。ご飯にしみ込んだ油が見えるカメラはないからです。Calorixがしているのは、どの写真も下書きとして扱うことです。材料ごとにグラム数、カロリー、確信度バッジを表示するので、どの品目を見直すべきかがわかり、どれでも変更したり、「バターで調理」のようなメモを添えたり、テキストや音声で「AIで修正」に直してほしい点を伝えたりできます。パッケージ食品は、バーコードと栄養成分表示でカバーします。詳しくはCalorixのスキャンのしくみをご覧ください。
変更履歴
- 2026年10月23日: タイトルを見直し、表の料金を日本のApp Storeの円の価格に更新(2026年10月23日確認)。日本のアプリ(あすけん、カロミル)の写真記録の項目を追加。精度の主張と研究の内容に変更はありません。
- 2026年10月11日: ページを公開。各アプリの機能、価格、主張をApp Storeの掲載情報、ヘルプセンター、公式サイトで、独立した研究をPubMed、PMC、各出版社のサイトで確認。
2026年10月23日更新