ファスティング

16時間断食(16:8)のやり方:研究にもとづく実践ガイド

16時間断食(16:8ファスティング)とは?スケジュール例、臨床試験と2026年のコクランレビューでわかったこと、避けるべき人、続けるための実践的なコツを紹介します。

執筆:Calorix 編集部, Invikta 1分で読める

16時間断食(16:8ファスティング)は、間欠的ファスティングのなかでも、特に始めやすい方法のひとつです。特別な食べ物も、丸一日食べない日もなく、ファスティングの時間のかなりの部分は寝ているあいだに過ぎていきます。8時間のあいだに食事をとり、残りの16時間は食べずに過ごします。

その一方で、大げさな効果をうたう情報もあふれています。このガイドでは、16:8とは何か、いくつかのスケジュール例、研究で実際にわかっていること、避けたほうがいい人、そして試すと決めたときに続けるコツを紹介します。

16:8とは

16:8は時間制限食の一種で、毎日、食事や間食を8時間の食事可能時間内にとり、残りの16時間はファスティングします。夜の睡眠がファスティングの大部分をカバーするので、実際には朝食を遅らせるか、夕食を早めるか、その両方になるのが一般的です。

研究でいうファスティングは、ふつうカロリーをまったくとらないことを指します。後で紹介するTREAT試験では、参加者は食事可能時間外のカロリー摂取を完全に控えるよう指示されました。水は問題なく、米国農務省(USDA)のデータでは、ブラックコーヒーや何も加えずにいれた紅茶は1カップあたり約2 kcalです。ミルク、砂糖、ジュース、シロップはカロリーを増やします。

16:8は、食事可能時間内に何をどれだけ食べるかについては何も決めていません。そこは自分しだいで、このあと紹介する研究が示すように、とても大切な部分です。

16:8のスケジュール例

食事可能時間 ファスティングの時間 こんな人に向いているかも
12時〜20時 20時〜翌12時 家族や友人との夕食を楽しみたい人、朝はあまりお腹がすかない人。下で紹介する試験のうち2つがこの時間帯を採用しました。
10時〜18時 18時〜翌10時 遅めの朝食と早めの夕食が好きな人。
9時〜17時 17時〜翌9時 食事可能時間を一般的な勤務時間に合わせたい人。
8時〜16時 16時〜翌8時 早起きで、食事を早めに済ませたい人。下で紹介する12か月の試験がこの時間帯を採用しました。

理想的に見える時間帯ではなく、ふだんの生活に合う時間帯を選びましょう。いきなり16時間はハードルが高いと感じるなら、12:12や14:10から始めて、少しずつファスティングの時間を延ばします。医学誌『New England Journal of Medicine』に掲載され、広く引用されているレビューの著者は、食事可能時間を一度に縮めるのではなく、数か月かけて徐々に短くすることをすすめています。いろいろな時間帯は、ファスティング計算ツールで試せます。

研究で実際にわかっていること

時間制限食は、いくつかのランダム化比較試験で検証されています。16:8にとって特に重要な3つの試験と、最新の系統的レビューを公平にまとめました。

  • TREAT試験(2020年)。過体重または肥満の成人116人を対象にした12週間の試験では、12時〜20時のあいだだけ食べるよう指示された人は、1日3回決まった食事をとった人と比べて、体重が有意に多く減ることはありませんでした。体組成を測定したサブグループでは、時間制限食のグループのほうが四肢の除脂肪量、つまり腕や脚の筋肉などの組織を多く失っていました。
  • 時間制限ありとなしのカロリー制限(2022年)。肥満のある成人139人を対象にした12か月の試験では、全員が同じカロリー目標に従い、半数はさらに8時〜16時のあいだだけ食べるようにしました。体重、体脂肪、代謝のリスク因子の変化に、グループ間で有意な差はありませんでした。
  • カロリー計算なしの時間制限と、カロリー計算の比較(2023年)。肥満のある成人90人を対象にした12か月の試験では、カロリーを計算せずに12時〜20時のあいだだけ食べると、摂取量が1日平均約425 kcal減り、カロリーを25%減らすよう指示されたグループと同程度でした。どちらのグループも対照群より体重が多く減り、2つのグループのあいだに有意な差はありませんでした。
  • 全体像(2026年)。過体重または肥満の成人約2,000人を含む22件のランダム化比較試験を分析したコクランレビューでは、通常の食事指導と比べて、間欠的ファスティングは最長12か月の期間で、減量や生活の質にほとんど、あるいはまったく差がない可能性があるとされました。このエビデンスの確実性は「低い」と評価されています。

動物実験の結果は、もっと劇的に見えます。先ほどのNEJMのレビューで、de CaboとMattsonは動物モデルにおける間欠的ファスティングの幅広い効果を紹介していますが、ヒトでの試験はほとんどが数か月程度の短いもので、おもに過体重の若年・中年の成人を対象としてきたため、結果をほかの年齢層に当てはめることはできないと指摘しています。

つまり、どういうことか。16:8は、おもに一部の人にとって食べる量を減らしやすくすることで効果を発揮するようです。カロリーをそろえると、通常のカロリー制限を上回る結果は出ていません。時間がはっきり決まっているほうが毎日がシンプルになるなら、16:8は理にかなった方法です。つらく感じるなら、やめても特別なものを逃すことはありません。

16:8を避けるべき人、先に医師に相談すべき人

ファスティングは誰にでも合うわけではありません。間欠的ファスティングの臨床的な管理に関するレビューでは、次のような人は避けるか、医師の指導のもとでのみ行うよう助言しています。

  • 妊娠中・授乳中の人
  • 幼い子ども
  • 摂食障害や認知症のある人
  • 虚弱な高齢者
  • 免疫抑制剤を使っている臓器移植を受けた人など、免疫機能が低下している人
  • インスリンやスルホニル尿素薬を使っている糖尿病の人(ファスティング中に低血糖を起こすおそれがあります)

同じレビューでは、糖尿病のある人も、医療者の管理のもとで適切に血糖を測定しながらであれば、安全にファスティングできるとしています。

わたしたちからも、いくつか付け加えます。18歳未満の方、摂食障害の経験がある方、ふだん薬を飲んでいる方(GLP-1の薬を含む)、持病がある方は、始める前に医師や管理栄養士に相談してください。また、ファスティング中にめまいや震え、体調不良を感じたら、何か食べて、医療機関に相談してください。

16:8を続けるための実践的なコツ

少しずつ慣らす

12時間か14時間のファスティングから始めて、徐々に延ばしましょう。de CaboとMattsonによると、間欠的ファスティングに切り替えたばかりのころは、空腹感やイライラ、集中しにくさを感じる人が多いものの、こうした副作用はたいてい1か月ほどで治まります。

ファスティング中も水分をとる

ファスティング中は水を手元に置き、好きならブラックコーヒーや無糖のお茶も楽しみましょう。起きたらまず水を1杯、という習慣は、朝のリズムづくりにぴったりです。

タンパク質を中心にする

食事の回数が減るぶん、1回の食事で1日のタンパク質をより多くとることになります。TREAT試験の除脂肪量の結果は、筋肉を大切にすることの大事さを教えてくれます。最初の食事も、そのあとの食事も、しっかりした量のタンパク質を中心に組み立てましょう。国際スポーツ栄養学会(ISSN)は、1食あたり20〜40 gを実用的な目安としています。1日に必要な総量は、タンパク質の目標量の解説で紹介しています。

食事可能時間をなるべく一定に

習慣は、予測できるほど続けやすくなります。ほとんどの日に守れる時間帯を選び、誕生日や旅行、遅い夕食のときは柔軟にずらしましょう。それを失敗と考える必要はありません。

運動のタイミングを工夫する

筋トレやハードなトレーニングをするなら、食事可能時間の直前か時間内に行い、そのあとにタンパク質の多い食事をとれるようにするとよいでしょう。ISSNによると、タンパク質は筋トレの前でもあとでも効果があり、運動による同化作用は少なくとも24時間続くので、あまり厳密に考える必要はありません。

まとめて取り返そうとしない

16:8が役立つのは、食事可能時間が短くなることで、食べる量が少し減るときです。1日分の食事に上乗せまでして8時間に詰め込むと、その効果は打ち消されてしまいます。食事可能時間内に食べたものを記録すれば、実態を正しく把握できます。

Calorixで16:8を記録する方法

Calorixのファスティングトラッカーは、まさにこうした習慣のために作られています。

  • プリセット(12:12、14:10、16:8、18:6、20:4、OMAD)を選ぶか、自分で時間帯を設定できます。
  • タイマーをスタートすれば、アプリを開かなくても、ライブアクティビティやウィジェットで進み具合をひと目で確認できます。
  • リマインダーを設定すれば、時計を気にする必要はありません。
  • ファスティングの履歴をふり返って、どれだけ続けられたかを確認できます。
  • 食事可能時間内の食事は写真、バーコード、音声、文章で記録でき、1日のタンパク質の目標もチェックできます。

そしてファスティング中は、炎の妖精の相棒、Toastyがお昼寝をします。今は一日の静かな時間だと教えてくれるささやかなサインで、競うためのスコアではありません。

まとめ

16:8は食事のスケジュールであって、ダイエット法そのものではありません。研究からは、ほかの方法で食べる量を減らすのと比べて効果は同程度で、優れても劣ってもいないと考えられます。それでも、時間がはっきり決まっていることで夜遅くの間食が減ったり、食べ物のことを考える回数が減ったりするなら、十分に役立ちます。少しずつ慣らし、水を飲み、タンパク質を中心に食事を組み立て、無理なく続けられる程度に時間帯を柔軟に保ちましょう。

妊娠中・授乳中の方、18歳未満の方、摂食障害の経験がある方、血糖値に影響する薬を使っている方は、16:8を避けるか、先に医師の許可を得てください。自分の食事が全体の必要エネルギーにどう合っているかを知るには、まず摂取カロリー計算ツール(TDEE)から始めましょう。

よくある質問

16時間断食は減量に役立ちますか?

食べる量を減らしやすくなる人もいますが、臨床試験では通常のカロリー制限を上回る結果は出ていません。2026年のコクランレビューでは、確実性の低いエビデンスにもとづき、間欠的ファスティングは通常の食事指導と比べて、減量にほとんど、あるいはまったく差がない可能性があるとされました。

16時間断食中にコーヒーを飲んでもいいですか?

はい。USDAのデータでは、ブラックコーヒーや何も加えずにいれた紅茶は1カップあたり約2 kcalです。研究のプロトコルでも一般的に、ファスティングはカロリーをまったくとらないことと定義されています。ミルクや砂糖、シロップを加えると、そのぶんカロリーが増えます。

16時間断食に最適な時間帯は?

ほとんどの日に続けられる時間帯です。臨床試験では12時〜20時や8時〜16時が使われてきたので、睡眠や仕事、人づきあいに合う時間帯を選びましょう。

間欠的ファスティングを避けたほうがいいのはどんな人ですか?

妊娠中・授乳中の方、子どもや10代の方、摂食障害がある方や過去にあった方、虚弱な高齢の方、インスリンやスルホニル尿素薬を使っている方は、避けるか、医師の指導のもとでのみ行ってください。持病がある方や薬を飲んでいる方は、まず医師に相談しましょう。

16時間断食を始めたばかりで、空腹感やイライラがあるのは普通ですか?

はい。医学誌『New England Journal of Medicine』の2019年のレビューによると、間欠的ファスティングを始めたばかりのころは、空腹感やイライラ、集中しにくさがよく見られ、たいてい1か月ほどで治まります。短いファスティングから少しずつ慣らすとよいでしょう。

出典

  1. 1 Beverages, coffee, brewed, prepared with tap water. USDA FoodData Central (SR Legacy), 2019.
  2. 2 Beverages, tea, black, brewed, prepared with tap water. USDA FoodData Central (SR Legacy), 2019.
  3. 3 de Cabo R, Mattson MP. Effects of Intermittent Fasting on Health, Aging, and Disease. The New England Journal of Medicine, 2019.
  4. 4 Lowe DA, Wu N, Rohdin-Bibby L, et al. Effects of Time-Restricted Eating on Weight Loss and Other Metabolic Parameters in Women and Men With Overweight and Obesity: The TREAT Randomized Clinical Trial. JAMA Internal Medicine, 2020.
  5. 5 Liu D, Huang Y, Huang C, et al. Calorie Restriction with or without Time-Restricted Eating in Weight Loss. The New England Journal of Medicine, 2022.
  6. 6 Lin S, Cienfuegos S, Ezpeleta M, et al. Time-Restricted Eating Without Calorie Counting for Weight Loss in a Racially Diverse Population: A Randomized Controlled Trial. Annals of Internal Medicine, 2023.
  7. 7 Garegnani LI, Oltra G, Ivaldi D, et al. Intermittent fasting for adults with overweight or obesity. Cochrane Database of Systematic Reviews, 2026.
  8. 8 Grajower MM, Horne BD. Clinical Management of Intermittent Fasting in Patients with Diabetes Mellitus. Nutrients, 2019.
  9. 9 Jäger R, Kerksick CM, Campbell BI, et al. International Society of Sports Nutrition Position Stand: protein and exercise. Journal of the International Society of Sports Nutrition, 2017.

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