栄養
タンパク質は1日どれくらい必要?目標量の決め方と根拠
タンパク質は1日どれくらい必要?推奨量の0.8 g/kgから新しい指針の1.2〜1.6 g/kgまで、筋トレ・減量・加齢の研究でわかったことと、Calorixの目標の決め方を解説。
執筆:Calorix 編集部, Invikta 1分で読める
タンパク質は1日どれくらい必要なのでしょうか。5人に聞けば、「推奨量で十分」から「最低でも体重1 kgあたり約2.2 g(1ポンドあたり1 g)」まで、5通りの答えが返ってくるかもしれません。どれも間違いというわけではありません。それぞれ、不足を防ぐにはどれくらいか、トレーニングを支えるにはどれくらいか、食べる量を減らしながら筋肉を保つにはどれくらいか、という別々の問いに答えているのです。
ここでは、主なガイドラインや研究が実際に何を示しているか、それを毎日の食事にどう落とし込むか、そしてCalorixが1日のタンパク質の目標をどう決めているかを紹介します。
推奨量(RDA)は目標ではなく最低ライン
米国の成人の推奨量(RDA)は、米国医学研究所の主要栄養素に関する報告書にもとづき、1日に体重1 kgあたりタンパク質0.8 gです。公式の表で使われている参照体重で計算すると、男性は1日56 g、女性は46 gになります。
推奨量は、ある集団の健康な人のほぼ全員(97〜98%)の必要量を満たす1日の平均摂取量と定義されています。不足を防ぐための値であって、筋肉をつけたり、トレーニングから回復したり、満腹感を保ったりするのに最適な量を示すものではありません。同じ表では、成人がタンパク質からとるカロリーの許容範囲を10〜35%としているので、0.8 g/kgを大きく上回っても、標準的な指針の範囲内です。
2025–2030年の食事ガイドラインはさらに高い目標に
2026年1月に公表された米国人のための食事ガイドライン 2025–2030(米国農務省・保健福祉省)は、毎食タンパク質を含む食品を優先してとるよう呼びかけています。タンパク質の目標は1日に体重1 kgあたり1.2〜1.6 gで、「個人のカロリー必要量に合わせて適宜調整する」としています。さらに、卵、鶏肉、魚介類、赤身の肉から、豆類、レンズ豆、ナッツ、種子類、大豆まで、動物性と植物性のさまざまな食品をとるようすすめています。
推奨量そのものは変わっていません。0.8 g/kgは最低ライン、ガイドラインの範囲はふだんの目標と考えましょう。
運動する人は約1.4〜2.0 g/kg
体をよく動かす人については、国際スポーツ栄養学会(ISSN)の公式見解が、運動する人の多くにとって、筋肉をつけて維持するには1日1.4〜2.0 g/kgで十分だと結論づけています。
タンパク質をそれ以上増やしても効果が上がらなくなる量の推定として最もよく知られているのは、筋トレをする1,863人を含む49件の試験を分析した2018年のメタアナリシスです。除脂肪量の増加は、1日の総摂取量が平均約1.6 g/kg(正確には1.62)で頭打ちになりました。ただしこの推定には不確かさがあり、信頼区間は約1.0〜2.2 g/kgに及んでいたため、著者らは、筋肉の増加を最大限にしたい人は約2.2 g/kgを目指してもよいとしています。
食べる量を減らしているとき
カロリーを制限しているときは、特に体脂肪が少なくトレーニングをしている人で、タンパク質の必要量が増えるようです。ISSNは、筋トレをしている人がカロリー制限中に除脂肪量を最大限に保つには、1日2.3〜3.1 g/kgが必要な場合があるとしています。2014年の系統的レビューでは、除脂肪量1 kgあたり2.3〜3.1 gという結果になり、カロリーの不足が大きいほど、また体脂肪が少ない人ほど、多めにすべきだとしています。
これらの数字は、背景をふまえて受け止めましょう。体脂肪が少なく筋トレをしているアスリートを対象にした、厳しい食事制限をともなうことの多い研究から得られたもので、少し食べる量を減らしたい人すべてではなく、そのグループについての数字です。多くの人にとっての実践的なメッセージは、もっとシンプルです。食べる量全体が減るときこそ、タンパク質にはより気を配りましょう。
高齢者はもっと必要かもしれない
PROT-AGE研究グループは、タンパク質に対する体の同化反応は年齢とともに低下すると指摘しています。65歳以上の成人には1日少なくとも1.0〜1.2 g/kg、運動しているなど活動的な人には少なくとも1.2 g/kg、急性または慢性の病気がある高齢者の多くには1.2〜1.5 g/kgをすすめています。例外は透析を受けていない重い腎臓病(推算GFRが30未満)で、その場合はタンパク質の制限が必要になることがあります。
食事への配分は大事?
役立つかもしれませんが、より強いエビデンスがあるのは1日の総量のほうです。
- 成人8人を対象にした小規模な2014年のクロスオーバー試験では、3回の食事でそれぞれ約30 gのタンパク質をとると、同じ1日量を夕食に偏らせた場合(約11 g、16 g、63 g)よりも、24時間の筋タンパク質合成が25%高くなりました。
- 体が一度に「使える」のは20〜30 gだけ、というよく聞く説は、あまり根拠がありません。2023年の研究では、運動後に100 gのタンパク質をとると、25 gのときより大きく、12時間を超えて長く続く同化作用が見られました。
- 実践的な目安として、ISSNは1食あたり20〜40 g(約0.25 g/kg)を3〜4時間おきにとることをすすめています。2018年のレビューでは、1日1.6 g/kgに届くよう、1食あたり約0.4 g/kgを少なくとも4回の食事でとることを提案しています。
1日の総量についてのエビデンスには、2018年のメタアナリシスに含まれるような長期のトレーニング試験がありますが、食事のタイミングについてのエビデンスの多くは、筋タンパク質合成を調べた短期間の実験室での研究です。ですから、まず総量をきちんと確保し、そのうえで自分の1日に合った形で食事に分けましょう。
高タンパクの食事は安全?
健康な成人については、心強いエビデンスがあります。28件の試験を分析した2018年のメタアナリシスでは、高タンパクの食事(1日1.5 g/kg以上、カロリーの20%以上、または100 g以上)は、腎臓病のない成人の腎機能を損なわないという結果でした。
腎臓病がある場合は話が別です。米国国立糖尿病・消化器・腎疾病研究所(NIDDK)は、慢性腎臓病のある人の中には、血液中に老廃物がたまらないようタンパク質を適量に抑える必要がある人がいる一方、透析を受けている人はより多く必要な場合があると説明しています。そのうえで、管理栄養士や医療専門職と相談して適切なバランスを見つけるようすすめています。
次に当てはまる方は、タンパク質の摂取量を変える前に、医師や管理栄養士に相談してください。
- 腎臓病、糖尿病、そのほかの持病がある
- 妊娠中・授乳中である(推奨量は1日71 gに増えます)
- 18歳未満である
- 摂食障害の経験がある
- GLP-1受容体作動薬などの薬を使っている
GLP-1の薬を使っている方は、GLP-1の薬とタンパク質のガイド(英語)とGLP-1タンパク質計算ツール(英語)が、相談の準備に役立ちます。
タンパク質をどこからとるか
米国農務省(USDA)のFoodData Centralによる、身近な食品のタンパク質量は次のとおりです。
| 食品(USDAの項目) | 分量 | タンパク質 | カロリー(kcal) |
|---|---|---|---|
| 鶏むね肉(ロースト、肉のみ) | 100 g(約3.5オンス) | 31 g | 165 |
| ツナ缶(ライト、水煮、汁気を切ったもの) | 1缶(165 g) | 32 g | 142 |
| アトランティックサーモン(養殖、加熱) | 85 g(3オンス) | 19 g | 175 |
| ギリシャヨーグルト(プレーン、無脂肪) | 1個(170 g) | 17 g | 100 |
| カッテージチーズ(乳脂肪2%) | 1カップ(226 g) | 23.5 g | 183 |
| ゆで卵 | Lサイズ1個(50 g) | 6 g | 78 |
| 豆腐(固め、硫酸カルシウム使用) | ½カップ(126 g) | 22 g | 181 |
| レンズ豆(ゆで) | 1カップ(198 g) | 18 g | 230 |
| 枝豆(調理済み) | 1カップ(155 g) | 18 g | 188 |
| 牛乳(乳脂肪2%) | 1カップ(244 g) | 8 g | 122 |
1つの食品で目標を達成する必要はありません。昼食に手のひらサイズの魚や鶏肉、朝食にヨーグルトやカッテージチーズ、夕食に豆や豆腐をとれば、すぐに積み上がります。動物性と植物性の食品を組み合わせるのは、まさに食事ガイドラインがすすめていることです。
Calorixのタンパク質の目標の決め方
Calorixは、タンパク質計算ツールと同じ、シンプルなルールを1つ使っています。
- 維持・増量中は、目標を考慮した体重1 kgあたり1.6 g
- 減量中は、目標を考慮した体重1 kgあたり2.0 g
- 上限は現在の体重1 kgあたり2.2 g、かつ1日のカロリーの35%
目標を考慮した体重とは、減量または増量の目標で目標体重を設定していればその目標体重、そうでなければ現在の体重のことです。目標体重を使うことで、現在の体重が目標を大きく上回っているときに、目標が非現実的に高くならないようにしています。35%の上限は、食事摂取基準(DRI)の表にある許容範囲の上限と一致し、カロリーの目標が低いときにだけ関係してきます。
| 状況 | 計算 | 1日のタンパク質の目標 |
|---|---|---|
| 80 kgで維持 | 1.6 × 80 | 128 g |
| 100 kgから目標75 kgへ減量 | 2.0 × 75(上限:2.2 × 100 = 220) | 150 g |
| 60 kgから目標65 kgへ増量 | 1.6 × 65(上限:2.2 × 60 = 132) | 104 g |
これらの例は、35%の上限がかからない程度に、カロリーの目標が高い場合を想定しています。
これをエビデンスと照らし合わせてみましょう。基本の1.6 g/kgは、食事ガイドラインの範囲の上限にあたり、活動的な人向けのISSNの範囲にも収まります。カロリーが不足しているときの2.0 g/kgは目標体重に対して適用されるので、現在の体重で見るとガイドラインの範囲内に収まることがあります。上の例では、150 gは現在の体重100 kgに対して1.5 g/kgです。いずれにしても、係数を高めにしているのは、食べる量が減ると必要量が増えることを示す研究を反映したものです。そして2.2 g/kgの上限は、2018年のメタアナリシスの上端と一致します。
1日に分けると、128 gを4回の食事でとれば1食32 gで、体重80 kgの人ならちょうど1食あたり0.4 g/kgになります。Calorixは、タンパク質の目標をカロリー、炭水化物、脂質、食物繊維、水分と並べて表示し、タンパク質トラッカーで進み具合を記録し、その日の残りの三大栄養素にもとづいて食事のアイデアを提案します。
医師や管理栄養士から具体的なタンパク質の目標を指示されている場合は、そちらを優先してください。
まとめ
- 0.8 g/kgはほぼすべての人の不足を防ぎますが、最適な目標ではありません。
- 現在の米国のガイドラインは1.2〜1.6 g/kgを目標とし、ISSNは活動的な人の多くには1.4〜2.0 g/kgで十分だとしています。
- 筋肉をつける効果は平均で約1.6 g/kgで頭打ちになり、約2.2 g/kgが妥当な上限の目標です。
- カロリーが不足しているときや、年齢を重ねるにつれて、必要量は増えるようです。
- タンパク質を毎食に分けると役立つかもしれませんが、まずは1日の総量を確保しましょう。
- 腎臓病などの持病がある場合は、医療チームに目標を決めてもらいましょう。
自分の目標はタンパク質計算ツールで計算できます。カロリー、炭水化物、脂質とのバランスは、PFCバランス計算ツールで確認しましょう。
よくある質問
タンパク質は1日にどれくらい必要ですか?
成人の推奨量(RDA)は体重1 kgあたり0.8 gで、健康な人のほぼ全員の必要量を満たす最低ラインです。米国人のための食事ガイドライン 2025–2030は1.2〜1.6 g/kgを目標とし、国際スポーツ栄養学会は、運動する人の多くには1.4〜2.0 g/kgで十分だとしています。
筋肉をつけるには、体重1 kgあたり1.6 gのタンパク質で足りますか?
平均的には足ります。筋トレに関する49件の試験を分析した2018年のメタアナリシスでは、除脂肪量の増加は1日約1.6 g/kgで頭打ちになりました。ただし信頼区間は2.2 g/kgまで及んでいたため、もう少し多いほうがよい人もいるかもしれません。
減量中はタンパク質を多めにとるべきですか?
研究からは、カロリーが不足しているときは、特に体脂肪が少なく筋トレをしている人で、タンパク質の必要量が増えると考えられます。Calorixは減量中、目標を考慮した体重1 kgあたり2.0 gを使い、上限を現在の体重1 kgあたり2.2 g、かつ1日のカロリーの35%としています。
タンパク質をとりすぎると腎臓に悪いですか?
健康な成人については、28件の試験を分析した2018年のメタアナリシスで、高タンパクの食事は腎機能を損なわないという結果でした。腎臓病がある場合、タンパク質の必要量は人によって異なるので、医師や管理栄養士と相談しながら決めてください。
1回の食事で吸収できるタンパク質の量は?
20 gや30 gではっきり打ち止めになるわけではありません。2023年の研究では、運動後に100 gをとると、25 gのときより大きく長い同化作用が見られました。それでも、20〜40 gを毎食に分けてとるのは実用的な方法です。
出典
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